沖縄県の南風原で織られる生地に「南風原花織」というものがあります。沖縄だけで栽培される琉球藍や福木、シャリンバイともいわれるテカチなどの植物染料を使って染めた糸で作る織物です。化学染料を使う場合は絹なら酸性のもの、木綿の場合はスレンや反応染料、直接染料を使います。
琉球藍は本藍とは異なりキツネノマゴ科の多年草植物で、沖縄本島では紅型や芭蕉布、琉球絣など多くの染め物に使われてきた歴史があり、現在ではTシャツやストール、バッグなどでも用いられます。琉球藍を栽培して染料にするために、泥藍という物を作らなければならないのですが、その製造は容易ではなく多くの手間と時間がかかります。また琉球藍の葉の収穫をして納品しても利益があまりないため栽培をする人が少なくなってきています。福木はオトギリソウ科の常緑高木で、沖縄では暴風や防火林として植えられていて、台風で倒された福木の樹皮をはぎ取って煮だして染料を作ります。薄黄色から山吹色、薄茶色から焦げ茶色の色ができ、福木で黄色く染まった糸を藍染すると緑色にすることもできます。テカチは幹を15センチ程度に割ってさらに細くしたものを煎じることで焦げ茶色の染料となります。煎じるのは日中で一日に6、7回染色を繰り返し、夕方になって染めるものを煎じる釜の上で糸を虫発色に高めるという作業を2週間程度行う必要があります。
スレン染料は日興や洗濯にも強くジーンズやのれんなどにも使われる染料で、反応染料は染料が直接遷移に化学結合し、長時間日光にさらされるものや工芸品などで使われます。直接染料は水に溶けてイオン化され媒染剤を使わないで直接染色できるものです。
これらの染料を使って染められた糸を、花のように図柄が美しく、立体感のある織物に仕上げた南風原地域の織物が「南風原花織」です。平織の織物は縦糸と横糸を1本ずつ交互に折り合わせるのですが、2本や3本糸を飛ばして変化をつけた組織織りや紋織といわれる織物を南風原では花織というのです。南風原町では明治時代のころから花織の織り方を母から娘に伝承されてきたといわれています。対象時代に南風原村立女子補修学校が設立され多くの女子が花織や斜文織などの技術を習得し、技法を確立しました。そして戦後また花織などの伝統的な技法を守るために織られていて、南風原は織物の町として知られています。
また黄八丈という織物は、山吹色の黄色を主とし縞柄や格子柄の絹織物のことで、本葉黄八丈は東京の八丈島で作られています。本葉黄八丈は黄色く染める染料には、八丈島に自生するコブナグサやイヌグスが使われます。このような黄八丈が南風原花織でも作られていて、南風原花織黄八丈といわれています。染料のもとになり黄色い染料が採れる福木を使って染められた糸で織られた花織の織物です。
南風原花織は化学染料を使うこともありますが、基本的には自然素材を使って作られます。染料に使われる琉球藍や福木、テカチなどははっきりした鮮やかな色合いを出しながらやさしさのある色を見せてくれるのです。自然素材から染料を作るまでは時間も手間もかかり、大変な作業となりますが、染料の素材によって様々な色を出し、また織り方や模様によって様々なデザインの織物ができ上がります。手間や時間がかかって作られる織物なので、南風原花織は価値が高い織物として流通されます。貴重品なので黄八丈など南風原花織の着物は中古であっても高価買取も可能なものです。南風原花織黄八丈など南風原花織の着物を購入する時や買い取ってもらうときは南風原花織に詳しい業者から購入したり買い取ってもらうようにすると本当の価値が分かってもらえるのです。