付け下げは訪問着と見た目の雰囲気が大変似通っているため、訪問着との見分け方やどういった機会に着用するのがふさわしいのかといったTPOの面でも若干わかりにくい面がある着物という印象です。着物の種類として着用されるようになったのは比較的遅く、太平洋戦争中に訪問着が贅沢品ということで禁制となってしまったため、その代用ということで登場したと言われています。戦時中から戦後にかけては主に花柳界で着用されていましたが、一般に広まったのは昭和30年代と言われ、訪問着に準ずる略礼装として多く用いられるようになりました。着物の種類での名称の元になっているのは柄の付け方で、贅沢に見せないための訪問着の代用という発祥もあって訪問着よりも模様が少ないのが特徴となります。模様が合口に1つから2つほどしか掛からないように構成されていることから、訪問着より手間が掛からない点で安価に仕立てられるようになっているのも特徴の一つです。模様がすべて上の方向に向いていることも特徴で、衿と肩、裾の前身頃とおくみの模様が繋がっていないところも訪問着と見分けるポイントと言われています。紛らわしいのが同じカテゴリに属しながら「付け下げ訪問着」と「付け下げ小紋」とに分類されているところで、創作物の中にはほとんど訪問着との見分けが付かないと言われるポイントにもなっています。一般的には「小紋」と付いているほうがスタンダードな種類と考えられるようになりました。訪問着と見分けるもう一つの特徴は制作の過程にもあり、訪問着の場合は仮縫いをした後に染められますが、付け下げは反物の状態で染められていることから、店頭ですでに着物の形になって仮仕立てしてあるものが訪問着で、反物で置かれているものが付け下げという見分け方も可能です。見分けるポイントとして、着物に詳しい人でなければすぐにはわからないだけに、TPOとしては訪問着とほとんど同様に着用可能とされます。訪問着よりは簡略化されているものの、小紋よりは改まったシーンにも着用できる種類とされていることで、双方の中間的な着物という見方をされていますが、着物を着用すること自体に特別感がある現代では、いわゆる「よそゆき」の着物ということで申し分ない種類です。考え方によっては訪問着よりも柔軟性がある着物として着用することも可能で、小紋と共に名古屋帯を締めることでカジュアル感を演出することができ、金箔や刺繍などをふんだんに使って豪華さが感じられるタイプでは袋帯を締めるという方法で、ほとんど訪問着と同等といった印象に格上げして着用することもできます。帯の種類でカスタマイズが可能な着物と言える面があることから、袋帯を締めれば友人や知人の結婚式披露宴や規模の大きなパーティーにも出席することができ、縫い紋を入れることで留袖の次に格が高いとされる準礼装としての着用も可能になってきます。一般的には見分けること自体が難しい種類ということで、デザインや色合いによっては袋帯を締めることで、ほとんど正式な訪問着と同様のシーンで着用できるということになります。豪華なパーティーに主役級として出席する場合には正式な訪問着が良いということになりますが、その場合も着物に詳しい年配の方が多い会合といったケース以外では、的確に見分けられる出席者は現代ではほとんどいないのが現状と言えます。正式な訪問着の場合、パーティー会場以外ではむしろ改まり過ぎていて、普通に街を歩くには不向きとまで見られることも考えられ、その点では正式な訪問着よりもややカジュアルな種類に分類されている付け下げのほうが適していると言えます。着物の種類に詳しく、見分け方にも長けていないとわかりにくい点で自由度の高いおしゃれ着です。