越後上布の産地は新潟県南魚沼です。
古くから伝わる平織りの麻織物で、上布とは上等な麻の織物を指します。
江戸時代に幕府への上納品として使われていたことから上布と呼ばれるようになります。
軽い着心地で通気性に優れているのが特徴で、高温多湿の日本の風土に適しています。
日本の夏の衣服としては最高級の衣服になります。
越後上布の生産反数は江戸時代には20万にも及んだことがあるものの、現在はかなり少なくなっています。
越後上布は歴史が古く、奈良の正倉院にも保存されています。
このことから1200年以前から塩沢地方で生産されていたと推測されます。
国の重要無形文化財に指定されてからかなりの年月が過ぎています。
越後上布の原料はイラクサ科の多年生植物です。
茎の外皮の下にある柔らかい内皮を細く裂き、つなぎ合わせて糸にします。
越後上布で重要なポイントは、麻をどれだけ細かく裂いて上質の糸として使うかです。
糸を整える作業は緻密で大変な作業になります。
薄い上質の布を織るためには上質の糸が必要になります。
糸を細くするとすべての工程が難しくなるため、昔と比べて生産量は落ちています。
江戸時代は20万反以上も生産されていましたが、現在はたった80反ほどの生産なので幻の織物と呼ばれます。
越後上布は撥水性と吸水性に飛んでいて最高級の麻織物として知られます。
昭和30年5月に国の重要無形文化財に指定され、平成21年にはユネスコ文化遺産に登録されています。
織るときは常に霧吹きをすることで乾燥を防ぎます。
織るのは11月から3月の間になります。
糸が切れないように北向きで湿気のある部屋で織ることになります。
新潟は気温が低いので、過酷な条件の中で織ります。
無地のものでも3ヶ月はかかります。
織物を彩っている文様は図案に合わせて染色しておいた糸を使って織り上げられます。
使用する色が多いとかなり大変な手作業になります。
織る際には床に座ってたて糸を腰当で引っ張り織り進めていきます。
たて糸がずれてしまうと調整するのが難しくなるので、常に腰で張力を加減する必要があります。
麻糸は乾燥すると切れやすくなる特徴があるので、糸に潤いを与える作業が必要になります。
織り上げた布は糊や汚れを落として布を柔らかくします。
布目を詰まらせるために足踏みも行います。
仕上げをしたら晴れた日の日中に織りあがった反物を雪の上に広げて製作中についた汚れや糊、原料の色を取ります。
太陽の熱で雪が溶けると水蒸気になりますが、そのときに殺菌作用と漂白作用があるオゾンが発生します。
オゾンが布目を通るときに、化学反応により繊維が漂白されて真っ白になります。
反物が真っ白になると柄が鮮やかに浮き出てきます。
昔の人の知恵がいかに優れていたかがよく分かります。
雪にさらすのは3月から4月頃で、だいたい1週間から10日ほど行われます。
この作業は南魚沼の春の風物詩としても知られます。
テレビなどのメディアでもよく紹介されるため、地元の人は若い世代でも知っている人が多いです。
重要無形文化財指定要件は5つあります。
厳しい条件をクリアした製品は世界遺産に指定されるほど素晴らしい伝統文化の賜物です。
100亀甲総柄の布は細い糸で亀甲の柄が全体に織られ、遠目で診ると無地に見えます。
亀甲は細かい作業を繰り返して仕上げるので、技を示す基準にもなります。
難しい亀甲柄は現在では織ることができなくなっています。
匠の技として伝統の継承として評価が高い織物は、伝統を長く維持することの難しさも伝えています。
糸作りができなくなったことで織物が織れなくなりましたが、その優雅な美しさは人々の心の中に残り続けます。